国内の樹齢50年を超える人工林が人工林全体の65%を占め、活用時期に差し掛かっているらしい。ところが50年前から現代までの間に住宅やその他の装飾材などから木部を必要とする数が減り、国内の人工林の新たな活用方法を考えていかなければならなくなった。そこで考え出されたのが「高層ビルを木造で造る」という新たな発想だった。
大林組は鉄筋構造と同様の強度を持つ、純木造の高層ビルを
2020年3月から大林組が「鉄筋構造と同様の強度を持つ“純木造の高層ビル”」に着工する。竹中工務店は木造と鉄筋コンクリートなどを組み合わせる技術で12階建ての集合住宅を2020年に竣工するらしい。このように大手ゼネコンの取り組みにより、木の新たな活用が注目されている。
実際に利用した際の不安は消せるのか
BASEで取扱うSE構法のように、低層の住宅で巨大なスパンの空間を実現する程度のものであれば、木造だけでも十分安心感のある居住空間は可能である。SE構法は大型の体育館などのように数十メートルもの間口の構造としても耐震性を有しその性能を国が認めている。方や「純木造の高層ビル」ともなるとどうだろうか。もちろん計算され、実験され安全が確保された技術ではあるものの、地上10階建てともなると臆病者の私には少々不安になってしまう。(実際の構造部材を見ると安心感は増してきます。)
この純木造の高層ビルは、五重塔のように地震力を分散させるのとは違い、工場で柱と梁の接合部をガチガチに固めた部材を使用するのだそうだ。また大林組の耐火木造技術「オメガウッド(耐火)」を構造部材として用いているそうだ。(オメガウッドは、耐火層として「石膏ボード」、燃えしろ層として表面に「木材」を設けることで、2時間耐火木造をローコストに実現している)
人工林の活用問題を解決していくために
こうした各ゼネコンの取り組みのおかげで人工林の活用問題が少しでも解決してくれればと願う。数十年ほど前から地元の木材の活用を市や県で取り上げてきたが、それでもまだまだ活用問題の解決には至っていないのだろう。山林の保全のためにも地元の木材をふんだんに取り入れた住宅を建ててみてはいかがだろうか。