今では当たり前に「高気密」「高断熱」で家が建てられる時代となりました。
ほんの20年ほど前までは隙間はあって当たり前で、その隙間が家の換気を行い家を長持ちさせる秘訣でした。
ところが地球温暖化が進み、夏の気温が30年前よりも10℃近く上昇しています。
私たち40代、50代の大人たちが小学生くらいだったころの夏休みといえば「30℃」を超えれば猛暑だといわれていました。
今ではどうでしょう、今年も浜松市で40℃を超え歴代最高気温に並びました。
そんな経緯もあって、高気密・高断熱にした方が電気代もかからず、快適に暮らせるという発想から、高気密・高断熱住宅がスタンダードになりました。
高気密・高断熱の弊害
高気密の住宅が増え始めて最初に発生したのが「シックハウス」問題でした。
換気が適度に行われず、建材はもちろん家具や電化製品における体に害となる物質が室内に充満し、健康被害が相次いだのです。
それらを回避するために建材や接着剤などの改良が求められ、住宅に使用する建材や接着剤は「フォースター」と呼ばれる「☆」が4つ付いた安全性の高い材を使用するようになりました。
次に高気密住宅は、自然な換気がなくなってしまったために人体の健康を害するという趣旨から「24時間換気」が義務付けられます。
これによって気密性を高めた室内に、大きな吸気口を設け24時間隙間風を取り入れる設計が必要になります。
隙間をなくしたことで、隙間以上の吸気口を設ける結果を招いたことは、本末転倒といえる法改正でした。
ここにきて高気密・高断熱の新たな弊害が発覚
高気密・高断熱を丁寧に施工すれば発生しなかった問題が、雑に施工する業者が出てきたことによって発生しだしています。
それは
1年中腐敗し続ける構造材住宅
高断熱であることは、どこかに大きな温度差が生じているということでもあります。
仮にこの温度差が内壁と外壁の間の構造材の部位で発生していたならばどうでしょうか。
1年中結露が発生し、木材は水分を含んだ状態になります。
さらに高気密であることで、この結露の水分が逃げることはありません。
つまり乾くことができない構造材ができてしまうのです。
丁寧に施工し、しっかりと断熱をした住宅ならば発生しなかった「腐敗する構造材住宅」、安価に購入できる建て売り住宅や実績に乏しい工務店の施工の場合、こういった問題が発生してしまうということも肝に銘じておいた方がよいかもしれませんね。