低炭素建築物の認定基準の見直し
政府は今月頭、「低炭素建築物の認定基準を厳しくする」と明らかにしました。
低炭素建築物とは、二酸化炭素の排出の抑制に資する建築物で、所管行政庁(都道府県、市又は区)が認定を行うものです。
低炭素建築物に関する認定基準
- 省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量が△10%以上となること。
- その他の低炭素化に資する一定の措置(選択的項目)が講じられていること。
難しい言葉でよく分からないと思いますが、ひとつめの一次エネルギー消費量が△10%以上は
●外皮の熱性能:省エネルギー法で定められる省エネ基準と同等以上の断熱性・日射遮蔽性が確保されていること
●一次エネルギー消費量:省エネルギー法の省エネ基準よりも、一次エネルギー消費量を10%以上削減していること
の2点にまとめられています。
ふたつめのその他の低炭素化に資する一定の措置とは
◆節水対策
➀節水に役立つ機器を設置している(節水便器や食器洗い機の採用など)
➁雨水・井戸水または雑排水を利用するための設備を導入している
◆エネルギーマネジメント
➂HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を設置している
➃太陽光などの再生可能エネルギーによる発電設備と、それに連係した定置型蓄電池を設置している
◆ヒートアイランド対策
➄敷地・屋上・壁面の緑化など一定のヒートアイランド対策が行われている
◆建築物(躯体)の低炭素化
➅住宅の劣化を軽減する措置が取られている
➆木造住宅である
➇構造耐力上主要な部分に、高炉セメントまたはフライアッシュセメントを使用している
の8つの項目の中から2つ以上満たしていることとされています。
さらに厳しくなるのは来年度から
政府の発表に関する記事を抜粋しましたのでご参照ください。
政府は4日、省エネ性能が高く、税優遇や特例融資の対象となる「低炭素建築物」の認定基準を厳しくすると明らかにした。太陽光発電など再生エネルギー設備の導入を義務付けるのが柱。これを満たせば、年間エネルギー消費量の収支が実質ゼロに近い建物となる。周知期間を経て、来年度にも新基準に移行する。
低炭素建築物は、これまでに住宅やビルなど約5万の建物が認定済み。現行の認定基準は節水トイレの設置や屋上・壁の緑化などを求めているが、新基準では再エネ設備が必須となる。空調や照明などに使うエネルギーを減らすため、関連数値基準も厳しくする。
政府は建物の省エネ化を段階的に進める。新築住宅に関しては、2025年度から省エネ基準への適合を義務付け、30年までには、より厳しい基準への適合を求める。静岡 2021年11月05日朝刊
簡単にまとめますと、今までの基準は「エネルギー消費量を抑える」ための処置だったのに対し、今後の基準は、「再生エネルギー導入」にシフトしていくと言うことになります。
これによって太陽光発電、または風力発電などの再生エネルギー導入が必須となり、新築住宅の費用はさらに嵩んでくるということなのでしょう。
現状では補助金がどの程度想定されているのかはわかりませんが、年々基準は厳しくなり住宅の価格が高騰していくことを想定しますと、予算を抑えるには早めに建ててしまうほうが安くなる可能性が高いということになりそうです。