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プロが考える、家のデザインの「アリ」と「ナシ」

他の建築家が設計した家や、工務店が建てた家を見学に行くことがある。同級生や知人の同業者なのでにぎやかしがてら覗いたり、見学させていただいたりするのだが、この前知り合いに連れられてハウジングセンターへ行ったのだが、最近の大手ハウスメーカーも素敵な設計をするところが増えてきたように感じた。ただ、やはり展示場だけあって豪華に見せるためなのだろうけれど、これはちょっと…というものもちらほら見受けられたので、プロが見る家のデザインの「アリ」と「ナシ」を少し書きたいと思う。

建築士が見て、これは「アリ」だと思う瞬間

建築士は空間の演出というか、その家の「素敵」な演出がオリジナリティあふれるものであれば共感するものです。ただ吹き抜けがあるだけだったり、ただ豪華な浴槽があるだけでは納得しないものです。例えば吹き抜け一つにしても、吹き抜けが何かしらのメリットを生むもの(風が抜けやすくなるように南北にちゃんと開口部が儲けられている設計)、吹き抜けがあることで、ある空間(居室)がわくわくするものに変わっていれば「アリ」なのです。最近はやりの「土間」も、ただ「土間がある家」だけでは共感できなくて、その土間があることで家族が集まる理由になったり、家族の向き合う空間ができたり、例えば洗濯物を干すための動線が従来よりもスムーズになったりするとよいなと感じますね。そこがやはり設計者のセンスに依存するところなのだと思います。

建築士が見て、これは「ナシ」だと思うデザイン

建築士と言えど同じ人間です。その空間で暮らした場合の想像をしてみて、これはNGだと思えば「ナシ」なデザインなのです。特に多いのが室内でのデコボコなタイル張り。これは陶器のものでも木のものでも同じで、一見壁面に変化が生まれてデザイン性があっていいな!って感じるものですが、実際住んでみると「かなりホコリが溜まる」ので掃除がとても大変なデザインと言えます。また、2階から吹き抜けを見下ろすスペースに設けられた小さな書斎のデスク。そのデスクがそのまま手すりの代わりをするようなデザインになっているところもありましたが、あれはとても危険で、デスクに花瓶やコーヒーカップ、筆立入れなどを置いておくと、ふとした拍子に1階に落としてしまうと落下物による事故が起こります。とにかく掃除面と安全面に関しては注意深く考えていかないとデザインに溺れて大切なものを見落としてしまいます。

まとめ

建築士はそのデザインや設計に「意味」を探します。「意味」を持たない空間やデザインは結局ただの無駄になってしまうのです。だから吹き抜け一つでもなぜそこに必要であったのか意味を考えます。そして一通り設計を終えてみて、今度は安全面と清掃面での暮らしやすさをシミュレーションします。この流れがおろそかになると自分勝手なデザインになってしまうのでこれは大切なルーティンなのです。


2019.12.18 | Posted in 住宅デザイン |  

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